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緋色に染まる天、暁の空

無限&銀雨用日記 あるファンタジー世界に生きる吟遊詩人の少女 あるいは、IFの現代日本に生きる霊媒士の少女 彼女たちの日々の覚書。 判らない人は要、退却~。

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馨り

着替えなくちゃ…

起動が解ければ、洋服。
本家には異質過ぎる姿。――まるで、今の私。


着物を用意し着替えて、ふと 机を見た。
長く、この部屋に居なかったのに 埃も被っていないところをみると
居ない間もちゃんと掃除をして、管理してくれていたのだろう。


――あれ?


何気なく弄った小物入れから、異質な物が出てきた。
これは…

「ネクタイ…ピン?」

着物が基本の花乃宮に、まして私の部屋の、私の小物入れの中。
ありえないありえない

でも、これは……


「香水が付いてる? …あ、………めぐる…の」

どうして、ここに貴方の馨りがあるの?
諦めようと、忘れようと思ったのに…


頬を伝うものを拭う事も出来ず、ネクタイピンを抱き込む。

――その馨りに優しく抱かれた気がした。
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