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緋色に染まる天、暁の空

無限&銀雨用日記 あるファンタジー世界に生きる吟遊詩人の少女 あるいは、IFの現代日本に生きる霊媒士の少女 彼女たちの日々の覚書。 判らない人は要、退却~。

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雨の日の回想―切欠

大分冷たくなった夜風の入る窓を閉めた深都貴は、机に置かれた書きかけの日記帳を手に取った。
「…珈琲党、か」
小さく呟いて、そんな自分にくすりと頬を緩ませる。

どう書き出したものか、考えては 何となく纏まらなくて頁を閉じるを繰り返していた。
「思えば、初めてだものね ………デート、…みたいなもの」

はしゃいでるつもりも無い、そもそも相手もそういう相手ではないし。
ただ少し、そう…馴れない経験に浮かされてるだけなのだ。
そう自己分析して、そのちょっとした上機嫌に理由をつけて日記を書き始める。

そもそも、事の始まりは数日前に遡る。
今日と違い、天気の悪い日で、光庭に丁度1人でくつろいでいた時の話だ。


▽回想を開く

***

「あらら、どうしちゃったの?センパイ」
「あー・・・鏡持ってねぇ?」

やってきた人を見つけて深都貴はまず、そう声を掛けた。
そこに居たのは、白馬・旋。強風に煽られいつもの綺麗にセットされた髪が見る影も無くなっていた3年の先輩である。

あまりに酷かったので、鏡と一緒に櫛を渡してから、ある気になる事を聞いた。
自分が1人『光庭』で時間を潰すに至っている大きな心配事。
つまり、天候の情況がどうなっているか…なのだ。

聞けば、風は酷い状態で雨は降ってないらしい。
確実に自分が外を見た時より酷くなっている。
深都貴は、内心焦りを覚えた。

(…まずい、嫌な予感がびんびんだわ このまま、過ぎるのを待つべきか…それとも賭けるべきか)

ともあれ、この焦りを他人に悟られるのは矜持が許さない。
そんな思いから、話題を変える。

「それにしても、大分寒くなってきたわね~。センパイ 飲みます?」

インスタントの珈琲を用意して、ついでに先輩にも声を掛けた。
欲しいと云う先輩にも渡し、代わりに彼の用意したチョコのスティックをいただく。
口で溶けるチョコの甘さに、ほろ苦い珈琲は良く合う。

―そういえば、珈琲を光庭で飲むのは久々かもしれない。
いつもは紅茶を美味しくいれる先輩が居る為か、殆ど紅茶だった事に今更ながら気が付いた。

「そろそろ寒くなるし、珈琲メイカー置いても良さそうよねー 電気ポットがOKなら
そっちもOKっぽいし」
「あっても良いかもな・・・できるならサーバーとネルのが良いが・・・」

焦った気分を払拭するべく、何気なく振った話題。
それは、意外な展開へと進んだ。


「・・・今度持ってくっか」

先輩が、ふと思いついたように提案してきた。
美味しい珈琲が飲めるのは、深都貴としても嬉しい。
紅茶よりも、珈琲の方が好みなのだ。
だから、

「買うンだったら、私もカンパするけど?」

当然の提案だったのだが、云われた方は意外であったたらしく、先輩は軽く驚いた表情を見せる。
内心、深都貴は自分がお嬢様であるのを知っているから、提供されるのが当然と思われたのかなと、
冗談っぽく思い、先輩を見る。

「んー?じゃあいっそ新しいの買うか・・・一緒に見に行くか?」


***

「その後よね、珈琲党の結成は…」

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